2012年11月26日
すんき漬け
“木曽”ならではの漬物 ~「すんき漬け」~
5月下旬から7月上旬にかけ「木曽路はほう葉巻きの季節」と紹介してきましたが、これから冬を迎えるこの時期の木曽路には「??の季節」
「すんき漬け」の季節を迎えました。京都のすぐき漬けと同じで、塩をまったく使わずに、地元に伝わる王滝かぶや末川かぶ(開田かぶ)の葉っぱを乳酸菌で漬け込んだ木曽ならではのお漬物が「すんき漬け」です。
冬、寒さの厳しい長野県では葉物野菜の保存はむずかしかったので漬け込んで保存してきました。野沢菜漬け、大根漬け、白菜漬け等、みな塩漬けの漬け物です。野菜ばかりではなく、わらびやキノコもみな塩漬けにして保存し、お正月など必要な時に塩出しして食べる食文化があります。
かつて、小学校の給食で「地域食材の日」として栄養士さんがつくってくれたメニューの中に“塩いか”を使ったメニューがありました。海でとれるいかがなぜ地域食材なんですか?と栄養士さんに聞いたところ「塩いかは海のなかった信州用に特別に生み出された食材です。塩いかは長野県の魚屋やスーパーでしか売っていない食材です。」と教えて下さいました。塩漬けすれば保存が効く、先人の知恵なんですね。
塩をまったく使わずに乳酸菌で発酵させた漬物がすんき漬けです。
写真は末川かぶです。かぶは平びったい円形状で、葉っぱは丈が短く横にひろがって地面を覆うように育ちます。 王滝かぶにも円形のものもあるようですが、多くはかぶの部分が細長いものが多いように思います。
木曽で生まれ育った私は木曽福島の竹安タネ店で末川かぶの種を8月に買い求め、9月上旬野沢菜の種まきの時期に種をまいて育ててきました。11月21日にすんき漬けに漬けました。
まず、すんきのタネになるものとして昨年のすんき漬けを冷凍しておいたものを自然解凍しておきます。4時間くらいかかるので前もって準備します。
かぶから切り取った葉っぱを洗います。
2~3センチ幅に刻み、熱湯にくぐらせます。赤みがかった葉っぱがあざやかな緑色に変わったらざるにとります。ひと肌になるまで冷まします。
写真の左下が解凍されたすんき漬けです。上が熱湯をくぐらせた葉っぱです。
漬け込むボールの底に解凍したすんき漬けを平らに並べます。その上に冷ました緑の葉っぱを並べます。
その上にすんき漬けを並べ、緑の葉っぱと順々に層になるように敷き、最後に解凍された汁をふりかけます。軽く手で抑え込むと、一回目の漬け込みは終わりです。発砲スチロールの箱等に入れ蓋をして2~3日置きます。
緑の葉っぱが乳酸菌で発酵されるとタネと同じ色に変わります。今度はこれをタネにして新しい葉っぱを湯通しして層に重ね、漬け物を増やしていきます。小さなタッパにとっておいたすんき漬けもこうして3~4回漬け込みを繰り返すと、2倍・4倍・8倍と量が増えていきます。少量ずつ何回繰り返すので、手がかかりますが簡単に石の重しはいらずに増やすことができます。
すんきつけのタネがない場合は木曽の道の駅やお土産物店でいろいろなすんきを使った商品が売られていますので、醤油等を混ぜていない乳酸菌発酵しただけのすんき漬けを買ってきてすんきのタネとして使うこともできます。
できあがったすんき漬けは冷蔵庫保管しておきます。お味噌汁の具がない時にはこのすんき漬けを浮かべればすんき汁が簡単にできます。
小皿にとってかつお節をかけただけで酒のつまみになります。(塩気がほしい人は醤油を1、2滴かける)
塩をつかっていないので健康志向の方には人気があります。地域のいろいろなグループがスンキを使った食品の開発に力をそそぎ、新しい商品やレシピの開発がすすめられています。写真の上のアルミ箔に入れられた商品は「すんき茶漬」です。
木曽で生まれ育った私は寒さがきつくなる12月になるとあたたかいかけそばにすんきを入れた「すんきそば」がむしょうに食べたくなりそば屋さんに駆け込みます。木曽路ではどこのそば屋さんでも食べることができます。
《タネの店 竹安》
〒397-0001 長野県木曽郡木曽町福島5226
電話番号 0264-22-2450
Posted by 画廊となりや at 11:23│Comments(0)
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